






クロアチアを知る人は皆、口をそろえてこう言う。それは、オーストリア、ハンガリー、トルコなど、この国に支配を及ぼした周辺国の食文化が地域ごとに色濃く遺されているから。それは逆に言えば、それだけバラエティに富んだメニューが楽しめるということでもある。
オーストリアやトルコの影響が強い北部地方は、肉料理が食の中心。重い鉄製の容器で素材を蒸し焼きにする料理「ペカ」も、豚や牛、ラム肉などを使用して仕上げられる。もてなし好きなクロアチア人にとって欠かせないパーティー料理のひとつ。
牛頬肉で作る「パスティツァーダ」も、クロアチアのレストランでは定番のメニューだ。赤ワインで長時間煮込んだ頬肉は、ほろほろと崩れるぐらいの柔らかさが魅力。軽食としても人気の挽肉団子のようなソーセージ「チェバプチチ」は、トルコの影響が強いボスニアから伝わったと言われている。
肉料理が多い内陸部に対し、アドリア海沿岸地方の主役はなんと言っても新鮮な魚介類。対岸のイタリアの影響を受けたこの一帯では、オリーブオイルやハーブ、ガーリックを用いて仕上げられる料理が多い。メイン料理として供されるブイヤベース風魚のスープ「ブロデット」は、素材の旨味を余すところなく味わえる逸品。
新鮮な魚介類はグリルやカルパッチョでも活躍する。チーズや生ハムを詰めて焼かれることもある「イカのグリル」は、イカの甘みが口福をもたらす。
多様な食文化のクロスロード、クロアチアならではの美味を、心ゆくまで堪能したい。


